カテゴリ:2009.04.24〈永井宏〉( 1 )   

永井宏(美術家)   

永井宏(ながいひろし)/大切にしている言葉 “夢をみること”

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70年代。写真の学校を出て、写真家になろうと思っていたけれど、それだけじゃ嫌だと思って、現代美術の世界で創作活動をしていた。でもそれじゃあ食べていけない。そんな時に雑誌「ブルータス」が創刊されて、ちょっと顔を出したらそのままズルズルと(編集者として)長く居ることになって・・・・。そう語り出した永井さん。
 
         仕事をやめて海辺の町へ

80年代バブルの頃、東京がどんどん変わって行った。育った町も、暮らしていた町も。居場所がなくなった。でも湘南の逗子や葉山には、子供の頃の時間の流れがあった。もともとサーフィンをやっていたし、ここなら落ち着いて暮らせるなあ。

         葉山で開いたサンライト・ギャラリー

      芸術ってなんなんだろう? 芸術って何の役に立つのだろう? 
      その疑問がいつも頭にあって、ずっとその答えを求めていた。


f0207537_4175021.jpg普通の生活の中にある芸術!こういうことをすると生活に影響がある。暮らし方が変わって行くんだ。“暮らしそのものがひとつの表現になるんだ” それを提案し証明するギャラリー。人が集まる場所は、環境や地域に影響を与えていく。そこから生まれるものがある。何が伝えられるのか。そういう作業をする空間がカフェやギャラリーなんだ。

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集まってくる人たちはなんとなく気持ちが似ている。生き方が似ている。でも寄り添うのではなく、それぞれが刺激しあいながら活動していく。サンライトギャラリーにも自然に人が集い、そこで新しいものが生まれ育ち巣立って行った。。。

そして生まれたのが、「ロマンティックに生きようと決めた理由」、今も人気のカフェのオーナーやクリエーターたち、“ロマンティックに生きようと決めた”人たち“ の本。

             
    人は誰でもモノを創ることができる!

人間は誰でも何かをイメージすることができて、それを具現化することができる。専門家でなくても写真はとれるし、絵は描けるし、文章はかける。普段の暮らしの中で自分が見つめているもの。自分のイメージを歓喜させるもの。それはいったい何なのだろう、どういうことなんだろうと思ってそれを表現する。その手段は誰でも持っているんだ。

     「ほおっておいた植木鉢を見たら、ちいさいきのこがひとつはえていた。
      嬉しくなって部屋に飾ったけど、3日目にくたっとなった。」
小山千夏

都内、そして関西でも詩の朗読会やワークショップを主宰している。大阪では小さな本屋さんで詩を読む。東京は大きすぎて人の繋がりが出来にくいけれど、大阪や京都、神戸のような街はまだ横のつながりがあっておもしろい。ワークショップは、文章を書くことで、表現するということはどういうことかを試みる場。詩をつくり、そして音楽をつくる仲間が集まって発表する。下手でも自分の表現として成立していればよい。


         自分の記憶の中にあるもの

f0207537_4462824.jpg詩にするということ。文章を書くということ。
それは自分が何を見ているのかを確認する作業。自分の記憶の中にあるものはいったい何であるのか、それを取り出す作業。家から駅までの間、ぼんやり歩いていても何かをみている。自分なりの見方がある。同じ道を歩いている100人それぞれに見え方が違う。普段の生活の中で自分が何を見ているのか、何に気がついているのか、何を感じようとしているのか。
書くということはそれに気がついていく作業。


       大切にしている言葉。
       “夢を見ること”
       自分が遠くの方を見つめられるかどうか。
       今、目の前にあるものに自分なりの夢を見られるのか?

             

音楽は聞かなくてはいけないものだから、いろいろ聞いています。音楽は生活の(身体の)一部。“聞かなくてはいけないもの”最近はバンジョーの練習をしている。

“ビーチボーイズのブライアン・ウィルソンは永遠のアイドル、これは外せないね。チェロを弾きながら歌うベン・ソーリーはアビゲール・ウォッシュバーンが創ったスパロー・カルティットのメンバーで、これは彼のソロアルバム。デミアン・ライスはアイルランドの優れたシンガーソングライター。元のガールフレンドと一緒に活動してるんだ”
 

      060.gifAdd Some Music To Your Day/Tne Beach Boys
      060.gifIt's Not Impossible/Ben Sollee
      060.gifOlder Chests/Damien Rice


        ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆ 

f0207537_3485555.jpg「仕事ばっかりしてるんじゃない?遊んでる?」、友人から「ロマンティックに生きようと決めた理由」を渡されました。これは“狭い部屋の中で読むものじゃない”。そう感じて、私は美術館の裏山でその本を開きました。まわりでお弁当を広げる人たちの「外で食べると美味しいね。」の声に、「そうだね。」と頷いた自分が、少しだけ優しくなれたような気がしました。それが永井さんとの出会いでした。

実際にお会いしてお話しを聞きながら、永井さんが“普段の暮らしに注ぐあたたかい眼差し”を感じました。“アートは誰でもできる。特別なことじゃない。自分でやろうと思うかどうかなんだ。視点をどこに向けるのかで、日々の暮らしはこんなに変わるのだということを、永井さんは教えてくれました。
       

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by crossroadmidori | 2009-04-24 05:01 | 2009.04.24〈永井宏〉