カテゴリ:2010.02.19(海原純子)( 1 )   

海原純子さん(医学博士)   

今週のゲストは、医学博士の海原純子さんです。講演や執筆活動をはじめ、大学での教育活動、ハーバード大学での研究など、幅広くご活躍されています。
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知識の裾野を広げるために
現在は教育や研究に力を注がれている海原さんですが、元々は心療内科のお医者様。1986年に日本で初めて女性のためのクリニックを作られ、“心と体を繋ぐ医療”をしてこられました。「女性のメンタルケアを専門で20年以上やってきたんです。ただ一人一人の治療をやっていても、なかなか基礎知識の裾野が広がらないのね。もう少し裾野を広げないといけないなぁ、と思って、それでいま大学で教えているんです。若い女性達に、基本的な体と心の知識と、それから女性の生き方ですね。考えるようなチャンスを増やして欲しいなと思って。教育活動の方にシフトしながら、いま活動しております。
ハーバード大学での研究は・・・?「“ヘルス・コミュニケーション”といって、『一般の方達に正確な医療情報をどういうふうに伝えていくか』という研究。アメリカはいま大変な格差社会ですよね。貧しくて、知識が無く、インターネットのアクセスも出来ない方達がいる。医療情報が手に入りにくくて、予防も出来ないし、どこにいけば良いかも分からない。そういった貧困の状況が癌の死亡率を上げているというデータがあるので、それをどう改善していくか、ということについて、社会、メディア、それから個人が一体化して取り組む大掛かりなプロジェクトがあって、それに参加して研究しています。」 厚生労働省の健康大使もなさっている海原さん。日本にとどまらず、アメリカでも医療情報を伝える、知識の裾野を広げるという大きな役割を担って、精力的に活動されているんですね。


f0207537_2139699.jpg♪「月の夜に」海原純子
なんと海原さんご自身の楽曲。「医者になる前に、クラブでずっとジャズを歌っていて、それで生活費を稼いでいたんです。医者になってからは20年以上歌を辞めていたけれども、また歌いたいなと思って。ジャズをやってみたり、自分でオリジナルを作ってみたり、いま音楽活動もしているんです。」この曲は、海原さんご自身が作詞をされたオリジナル。「私の時間~Ma Vie~」というアルバムに収録されています。「南こうせつさんに曲を書いていただいたり、すごく贅沢なCDなんです(笑)」


「自分で生きていける方法を考えろ」
音楽の才能もお持ちの多才な海原さんが医療を志したきっかけは・・・?「父が体が弱かったので、『親はいつまで生きているか分からないから、自分で生きていける方法を考えろ』って、小さな頃から親に言われていて。私の育った時代は、女性は結婚して家庭に入るのが主流な時代だったから『でもまぁ、結婚すればいいじゃない』って言うと『じゃあ夫が病気になったり、死んじゃったりしたら、どうやって自分で生きてくの?』って親が言うんです、小学校の頃にね(笑)だから常に自分がどうやって生きるかっていうことを、考えざるを得なかった。その頃は反発して、嫌だなって思いましたね。小説を書くのが好きだったんで、そういう仕事をやりたいなと思っていたけど、「じゃあ、それで食べていくことが出来るくらいの自信があるの?」って父親に言われると、「えー・・・それは分からない」って(笑)その当時、女性が男性と同じように生きていける仕事というと、医者、獣医さん、弁護士、薬剤師、それくらいしかないな、って。そんな形で選んだ道なんですね。」 お父様の思いを受け入れられた上で、自分らしさを追求する海原さんの前向きなご決断があって、現在のご活躍に繋がっておられるのだろうな、と思います。


f0207537_21414614.jpg♪「雪のかけら」Walter Lang Trio
「Walter Langという人はヨーロッパ出身。ヨーロッパの人のジャズというのは、アメリカのジャズとはまた違う独特のものがあって、私は今とても好きなんです。自分も日本人だから、ジャズをやる時になかなか難しい壁があって、ネイティブのアメリカ人のようにはとても出来ない。どうやって自分らしいジャズをやろうかという時に、一つ目安になるのがヨーロッパの人達のジャズ。ヨーロッパの伝統とか、育ってきた環境を大事にしている。この洗練された雰囲気ってヨーロッパだな、成熟してるな、と思いながらいつも聴いてるんです。」


大切なのは自分を知ること、そして、自己表現
現代を生きる私達にはとても気になる、メンタルな健康についてのアドバイスも頂きました。「どんな病気のベースにも、やはり精神的な問題がある。例えば皆さん、徹夜が大変だ、時間がないからストレスになっちゃう、って言うけど、実はそうではない。ストレッサーというか、かかる衝撃がいっぱいあっても大丈夫の人もいるし、めげちゃう人もいますよね。ストレッサーの大きさではなくて、本人のパーソナリティ。本人がそれをどういうふうに受け止めるだけのキャパがあるか。或いは、それをサポートする周りの人がいるか。或いは、自分自身をサポートする自分自身であるかどうか、ね。それはやっぱり自分で知ったり、気付いていったりしないと、なかなか難しいですよね。」
それでもやはりストレスを感じてしまったときは、どう対処したらよいのでしょう?「ストレスを上手に乗り切るためには、自己表現をいかに上手にやっていくか。例えば、嫌なとき、自分の出来る範囲を超えていると思うとき、きちんと上手に断るような、アサーティブな技術っていうのは非常に大事ですよね。それからもう一つは、自分の感情や心、悲しい、嬉しい、楽しい、そういう気持ちをきちんと表現していくことの積み重ねってすごく大事。私は愚痴を言うのは嫌いなので、人に聞いてもらうっていうのは嫌なんです。皆さんの中にもそういう方がいると思うんですけど、そういう方は自分の表現方法を持つ。私は物を書いたり、歌ったり、物を作るっていうこと。そういうクリエイティブなことに自分の嫌な気持ちを振り替えていくと、トランスフォーメーションが起きるんですね。嫌なこと、辛いこと、醜いことを自分を通して少し綺麗な結晶にして世の中に送り出す。先ほどの「月の夜に」もそうなんです。そんなふうに綺麗な形で残していって、表現して伝えていく、っていうのが私は大人のやり方じゃないかな、と思います。」


f0207537_2144687.jpg♪「スカイラーク」 Ernestine Anderson
アルバム「A Song for You」より。「もう何十年も前から大好きな歌手なんです。この方はずっとステージで、この『スカイラーク』を歌い続けて、CDも何枚もある。その時その時で、全部違う「スカイラーク」なの。ボストンにいた時に聴いた『スカイラーク』は生涯忘れられない素晴らしさで!聴いているだけで、涙が出るくらい素敵でした。今まで自分のライブでこの曲を歌ったことがなかったんですけど、それ以来、自分も歌うようになったという思い出の曲です。」


今やりたいことに全力投球
「私は将来どうなるかって、全く考えない性質なんです。いま自分が出来ること、やりたいことに全力をかけるっていうのがすごく好き。そうすると将来が、なんかどんどん開けてくるのね。私はいま歌をやったり、物を書いたり、研究をしたり、っていう生活なので、それを少し掘り下げていきたいですね。やっていることの中の一つ一つのクオリティをどんどん掘り下げて行くことで、いろんなものが連動してくる。実は、音楽と医療って関係なさそうだってお思いかもしれないけど、自分の中では全部連動してるの。カウンセリングも、音楽も、物を書くことも、研究も、いろんなものが自分の中で連動して、融合していきながら、何か素敵な大きなものになって、発信していけたら、って思いながらやっています。」

☆☆☆     ☆☆☆     ☆☆☆

聞いているだけで、癒されてしまうような海原さんのお話。心がスーっと下に落ちて、とっても落ち着いた、クリニックを受けたような気分になりました!
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by crossroadmidori | 2010-02-19 22:30 | 2010.02.19(海原純子)