カテゴリ:2010.03.12(岩関禎子)( 1 )   

岩関禎子さん(「ギャラリー桜の木」代表取締役社長)   

今週のゲストは、銀座と軽井沢で画廊「ギャラリー桜の木」を営まれている岩関禎子さん。画廊のみに留まらず、作家さんのプロデュースや様々なメディアでのプロモーション、各地での展覧会、絵とともに全国北から南まで出張も!広い範囲で活躍されています。
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画廊って、入ると出てこられないイメージ?!
「ギャラリー桜の木」は企画画廊というスタイルで、「こういうものが面白いよ」というものを画廊独自で企画して、暫時イベントを行っているそうです。銀座にはこういった画廊が沢山あるそうですが、私達にとって画廊って、入ると出てこられないんじゃないか・・・みたいな緊張感を感じる場所だったりしませんか?その点、岩関さんのギャラリーはとてもサロン的な感じ。「入りにくいと言われないようにはしたいと思っているんです。基本的には、どの画廊も敷居が高いとおっしゃる方が多いですよね。値段のこととか、お姉さんが距離感的に放っといてくれるのか、ここは座っていいのか、とか(笑)皆さんいろいろお思いになりながら、本当にストレートに絵の前で感性を開いて見れるかというと、あまりそうでない方が多いんじゃないかな、と私も拝察します。」 せっかく素敵な絵を見るんですから、邪念を払って(?!)リラックスして楽しみたいものですよね。


f0207537_19581952.jpg♪「ゴールドベルク変奏曲:アリアグレン・グールド
「小さい頃の私にとってはかなり親密だった曲で、屋上とかで一人で聴いていると、自分の中の形にならない思いを、引っ張りだしたり、潰したり、伸ばしたりできるなぁ、って思っていたんですね。でも、だんだん大人になってくると見方って変わってきますよね。ずっと聴いているとグレン・グールドがうなったりとか・・・基本的に変態じゃないですか、この人って(笑)。今の自分にとっては、『世の中に鮮やかな仕事を残すとしたら、変態度や自己陶酔ってやっぱり大事だな』と思わされる。変だなって思われた方がやっぱり記憶に残ると言うか、そういう画廊にならないといけないかなって。興味を持ってない人に興味を持ってもらうにはどうしたらいいだろう、と日々考えると、ちょっと変なところもないとマズイのかな、って最近思っています(笑)」


絵が、おかえりなさい、いってらっしゃいを言ってくれた
禎子さんは「ギャラリー桜の木」の二代目。禎子さんのお母様がギャラリーを始められたエピソードがとても素敵です。「母が25年前に、当時結婚していた私の父に愛想を尽かしまして、裸一貫で立ち上げた会社なんですね。離婚がまだ珍しい時代で、田舎から勘当されて、お嬢様育ちだった母がどうにかして働くしかない、っていろいろするんですが、最終的には訪問販売の仕事で、一ヶ月半で全国一位の営業成績とか取っちゃったんですって。それで貯めたお金で絵を買ったりするのには慣れていたみたいですけど、ある時引っ越しをして、絵だけ持ってきたらしいんですよ。帰ってきたときに、家に誰も居ないんですけど、絵が『おかえりなさい』と『いってらっしゃい』を言ってくれた。せっかく売ることに長けているんだったら、自分が一番救われたものを…というのがスタートだったんです。


f0207537_2013564.jpg♪「I Will SurviveCAKE
「実はうちの母が上手いんですよ。『あなた無理に継がなくていいわよ。古いお客様の前に出るときだけ、二代目のフリをしていなさい』って言うんですね。これってもしかしたら、事業承継をこれから考えていらっしゃる経営者の方には、すごい裏技なんじゃないかと思うんですけど、自分の子供に『いいの、お客さんの前だけで』って言い続けると、意外とあっさり『分かった』ってのってくれて、結局は縄をなうように最後決まっていくんですね(笑)それでもちょっと抗っていた時期があって、母の姿を見ていてやっぱり私も企業家になりたかったので、スペインに行って日本からのものを売りつけてやろうという時期があって、実はその当時に聴いていた曲なんです。まぁ、大体私の人生は母に翻弄されることになっているので、最終的には気が付いたら会社継いでたみたいな。母の思う壺ですね(笑)」


絵は“出会い”
私も実はリトグラフとか簡単なものを何点か買ったことがあるのですが、絵って「これ欲しい!」って思っちゃったが最後、一目惚れですよね。「まさに!その通りですね。ただ最近の若い方は熟慮型が多いので、私も『絵は出会い』ということは本当にお伝えしていかないといけないと思っているんです。後になって『あれが良かった』って言っても、もう手に入らないんですよね。」
私も、初めて絵を買う時、やはりとても迷っていたんです。そんなに高いものではなく、ワンピースが買えるくらいの金額だったのですが、こうアドバイスしてくださった方がいて・・・「迷っているなら買いなさい。そのくらいの金額から始めるといいわよ。ちょっと痛いなっていうくらいのものを買うと大事にするから。」 そこからは、絵を見る目が変わりましたね。買うかもしれないって思った時には、自分と絵との相性を真剣に感じ取るようになりました。「絵って、見ても、描いても、もらっても楽しい、それぞれあると思うんですけど、買う時のあのビリビリ感っていうんですか、あれはすごいですよね。実際、絵が分からないとか、逆に難しく考えてしまう方には、一枚でもいいから何か買っていただくと、その先すごくラクになると思います。


f0207537_2043181.jpg♪「歌を唄えば ~Ngiculela - Es una historia -I am singing~スティービー・ワンダー
「明日のために歌おうっていうような話を、スティービー・ワンダーがシンプルに歌っている曲。言葉がズールー語から始まって、スペイン語、その後英語になるんですけど、同じ内容を歌っていると思いきや、意外と違う。結構ツッコミどころ満載の曲ですね(笑)ものの伝え方って、私は個人的にすごく面白いと思うんです。見せ方、伝え方、感じ方によって、結論が違ってきますよね。そのあたりでどんなことが出来るか。私はクリエイターではないので、今まで絵に全然興味がなかったという人に、クリエイターの仕事をどういうふうに見せていくか、っていうのはすごく面白いんですよね。



大切にしている言葉  “全ての問題は関係性に帰結する”

ノーベル賞作家のオクタビオ・パスという方の言葉で、もともと三行くらいの詩になっている言葉だそうです。「絵と人の関係性というのは、時間で折々変わっていきます。触れてたい、見たい、持っていたい、そういう絵をご紹介している私達の仕事は、“間”にある仕事。そのものが最高に良いとか悪いというよりは、“間”を追求するというのが私は好きです。」

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ものには「絶対」ということはなくて、そこに人間との係わり方や、空間、雰囲気、そういうものがあって、一つのものが存在しているんですよね。絵ってまさにそう!"絵がある空間"ですもんね。
ぜひ皆さんも、銀座と軽井沢にあります「ギャラリー桜の木」へ足をお運び下さいね。もしかして禎子さんにもお会いできるかもしれません001.gif
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by crossroadmidori | 2010-03-12 20:39 | 2010.03.12(岩関禎子)